お口の健康づくりから抗加齢、健康寿命延伸へ
~NCDs(糖尿病含む)を予防するための歯科的事項~
講師 鶴見大学歯学部臨床教授 武内博朗 先生
日時: 平成28年 4月 23日 (土) 午後 14時 ~
場所: 西東京市民会館
対象者: 西東京市及びその他近隣市民
歯科口腔領域の予防が、お口の健康はもちろんのこと、全身の健康づくりや抗加齢にも影響を及ぼすことがわかってきました。
大臼歯を失うことで、軟性食材である糖質偏重食となり、丸呑みする食速度増加と食後高血糖、およびカロリーオーバーによる肥満やタンパク質ビタミン低栄養につながっていきます。歯科の補綴治療(入れ歯など)はこうした状態を改善し、糖尿病などの代謝性疾患に対する極めて初動的な領域を担っています。
28本の歯の全周に約5mmの歯周ポケットとよばれる潰瘍があると、この傷口は72㎠の名刺サイズの潰瘍面となり、日々細菌や内毒素など炎症性物質が血管系に入り続けて歯原姓菌血症が起こります。その結果慢性持続性炎症が生じ、腫れた歯肉からでる炎症性物質が血糖値を制御するインスリンの働きを阻害して糖質代謝に悪影響を与えます。
また数年にわたって血管壁を傷つけ、アテロームというコブが作られ、血管が狭くなり、動脈硬化の原因にもなります。
歯周病予防は抗加齢の実践であり、血管をも守る予防行動と言えます。
歯科発の健康づくりのポイントはお口の中を清潔に保つこと、そして生涯にわたって噛む機能を失わないことです。